物語構成における「期待の裏切り」と「失望の裏切り」について

2020年3月24日

 今回は、物語に触れたときに起こる「予想の裏切り」の2パターン、「期待の裏切り」と「失望の裏切り」について記事にします!

 それぞれ具体例を挙げるため、ネタバレを含みます!
 ご注意ください!

期待の裏切りとは、減点要素

 当たり前ですが、期待させておいてそれを裏切ると、ガッカリします。
 期待が大きいほどガッカリも大きくなるのは誰しも経験しているのではないでしょうか。

 物語における期待の裏切りは、作り手としては絶対に避けたい減点要素です。

 一度、期待が裏切られると、作り手への信頼感が落ち、その後の「ワクワク要素」も価値が落ちますよね。そうなると続きを読んで貰えなくなるかもしれないからです。

アリスのままで(映画)

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 映画「アリスのままで」は、若年性アルツハイマーになった主人公が、未来への自分宛動画を撮影する展開があります。

 その内容を簡単に言うと「もし家族のことさえわからなくなったら、この薬を飲んでね(自殺してね)」というものです。

 私はそのシーンを見て、「狙い通り自殺に至り、後に家族がその動画を発見する」展開か、「家族が先にその動画を発見し、自殺は失敗に終わる」展開が来ると予想しました。

 そして「その後、家族がどう主人公に向き合うか」がこの映画、最大の見所になるのだろう、と期待したのです。

 しかし作中の主人公は、動画を見つけるも薬を服用できず、家族が動画を発見することもありませんでした。

 最大の山場を期待しただけに、見終わってもなにか物足りない気分になってしまったのです……。

・「映画「アリスのままで」を観た感想とレビュー:構成上の不満

転スラ(アニメ)

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 転スラでは最序盤に、封印された強力なドラゴンを体内に取り込み、封印解除を助ける、という展開があります。

 この展開、わくわくですよね。期待してしまいます。

 封印解除のあかつきには、主人公に強力な味方が加わって、「スゲー!」という展開になるのは万人が予想するでしょう。

 しかしアニメ版では(というかアニメ版だからなのですが)、2クール放送したにも関わらずその展開(もしくはそれを裏切る展開)は見られませんでした!

 最序盤ですっごいわかりやすいわくわく要素が明示されるのに最終話まで解除せんのかーい! と、私はなりました……。

 特にこの解除要素というのは、手順が示されていませんから、「はい、解除できましたー!」で、次の瞬間にも解除が終わる可能性があるだけに、残念に感じました。

 短期、中期で再利用する要素だと思ったら、2クールでも再利用されなかった、という予想の裏切りも、残念さに繋がったと思います。

失望の裏切りとは、加点要素

 期待の裏切りとは逆に、「失望の裏切り」は加点要素になります。

 こちらは「期待の裏切り」ほど明確に認識している人は多くないかもしれないですが、いわゆる「ギャップ萌え」みたいな心の動きです。

 以下に、具体例を(私の体験から)載せますー。

Fate/Zero(アニメ)

 私がFate作品に触れたのはアニメの「Fate/stay night」からでした。

「Fate/stay night(アニメ)」 から「Fate/Zero(アニメ)」という流れを辿ることで発生した“失望”が、気持ちよく裏切られたので、「Fate/stay night」を観たときの印象から紹介します。

Fate/stay night(アニメ)は“ツリーハーレム”

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 アニメを見たときの印象は、「バトルもの。男子高校生が後輩、同級生、年上、幼女に好かれる(ツリー状の)ハーレムもの」という感じでした。

 実際はハーレムものとまでは言えませんが、ゲームが原作ということは知っていましたので、ルートによって選べるのだろうな、と予想し、ツリー状のハーレムものという認識になりました。

Fate/Zero(アニメ)はオッサンばっかりやないか!

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「Fate/stay night」はツリーハーレムだったのに、「Fate/Zero」はオッサンばっかりじゃないですか!

 普通、同じシリーズの作品であればターゲットも同じなのに、女子高生が存在しないという凄み!

 でも、最初に面食らっただけに、「あ、でもこれはこれで面白い!」となった時には効果絶大ですよね。

 こんな感じで、「失望の裏切り」には、ショックがバネとなり、印象を大きく上げる効果があります。

 しかも結局、ちっこい凛が活躍したりして、『かわいい要素』もちゃんとある、ってのが秀逸でしたね。

 最初にバネとして使われたガッカリ要素が埋められて、失点なしでバネ加点だけが残る! みたいな!

絶チル(漫画)

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 絶チルを最初に読んだときも、「あれ?」ってなりました。

「あれ? 幼女3人? 今回はお色気なしですか?」と。

 でもさすがは椎名高志先生、1話の終わりで3人の成長した姿をチラ見せして来ましたからね! 参りました!

 小学生3人をメインに描けば、ハートウォーミングな展開を多く作れますが、代わりにお色気とかラブコメ要素は必ず減ってしまうはずです。

 でも序盤から成長した姿を見せ、「ここまで描きますよー」と宣言することで、両立が難しい要素を両取りしてる訳ですよね。

 実際、3巻では『チルドレンが大人に見える』催眠を食らってラブコメ的ドタバタがありますもんね!

 よくこんな構成、思いつきますよね。参りました……。

「失望の裏切り」が秀逸な作品!

 最後に、「失望の裏切り」構成がある、個人的に大好きな作品を紹介します!

STAR DRIVER 輝きのタクト(アニメ)

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 男の子2人と女の子1人のダブルヒーローもの!

 ダブルヒーローはメインとサブに分けられるものの、終盤までヒロインの心は揺れたまま!

 そして、クライマックスでサブヒーローの「自己犠牲エンド」が匂ってきます。

 個人的には「自己犠牲エンド」は好きではないのですが、この作品では「なるほどな」となりました。

「なるほど、このためのダブルヒーローだったのね」と。

 しかし!その自己犠牲の選択をメインヒーローが覆します!

 この展開は興奮しました。「自己犠牲エンド」が腑に落ちていただけに、バネが強く働きましたね。

 大好きな作品、大好きな最終回です!

東京レイヴンズ(史上最高のラノベ)

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 東京レイヴンズだけはネタバレなしで紹介します!

 ここまでに紹介した「失望の裏切り」作品はどれも、失望から裏切りまでの期間が短いものばかりですが、東京レイヴンズだけは長期的にそれを使っています。

 失望もちょっとした違和感、個人的な好き嫌いと言えるような小さなものなんですが、長い期間を経てそれを裏切ることで、「伏線回収(要素の再利用)」のような気持ちよさもプラスされていました。

「あー!なるほど! そういうことだったのか!」っていう、ミステリー作品を読んだときのような快感が、失望のバネと一緒になってやって来るわけですから、それはもう、ものすごかったです!

 これは是非! 読んでください! 史上最高のラノベです!

 アニメもありますが、まずは原作小説から!!

最後に:みなさんのオススメ教えてください!

 物語を構成する者として、「期待の裏切り」は絶対に避けたいですし、「失望の裏切り」は狙っていきたいものです。

 でも「失望の裏切り」ってなかなか思いつかないんですよねー。

 もっと作品に触れればアイデアも浮かぶようになるんでしょうか……。

 と言うことで! 読者さんオススメの「失望の裏切り」作品があれば教えてくださいー!(ネタバレにならない程度にお願いします!)

 ブコメでもツイッターでもお問い合わせからでもいいです!

 ぜひぜひ!お願いしますー!

 以上、たけちのでした!