映画「アリスのままで」を観た感想とレビュー:構成上の不満

2019年5月6日

 ジュリアン・ムーア主演の映画「アリスのままで」をアマプラで観ました。

 良い映画だったんですが、かなり大きな構成上の不満があります!
 なのでここでは、良いところと不満点を記事にします。

「アリスのままで」(Amazonリンク)

「3.良かったところ」以降はネタバレがあるので注意してくださいねー。

簡単なあらすじ

 ジュリアン・ムーア演じる言語学者が若年性アルツハイマーになり、その進行と家族愛を描いた映画です。

感想

 良い映画でした。何度も泣いてしまいましたね。
 視聴の際には涙を拭くものを用意しておいた方がいいです。

 個人的に付けた点数は83.7点で、高い部類に入ります。(小数点以下は他作品との差別化ですので、お気になさらず)
 アマプラでも星4.2付いてますし、世間での評価も高いですね。

 まずジュリアン・ムーアが美しい! 序盤はほんと、彼女を見てるだけで幸せ気分になります。
 ただ、その分、後半は病気の影響もあって、彼女の姿を見るのがつらくなっていきます……。

 若年性アルツハイマーの情け容赦ない進行も描かれていますが、メインは間違いなく『家族愛』だと言い切れます。

 素敵な、思いやりのある家族で、ぶつかることもありますが、衝突を描くというよりは、家族を愛する心を描いていると感じました。

良かったところ(以下、ネタバレ注意)

 私が「ここ良い!」と思ったところを2つ紹介します。

序盤の講義場面でのピンチ回避

 私は「人が恥をかくところ」を見るのが苦手なのですが、序盤の講義シーンはヒヤヒヤしましたね。

 これ!病気の影響で講義が破綻しちゃうやつや!と……。

 しかし実際は、彼女自身が機転を利かせることで回避してくれました。

 この一連の流れで、私は「この作品は安心して見れる。そういう風に作られている」と感じました。

「人が恥をかくところ」が苦手な人は結構いると思うので、その回避から、作者への信頼に繋がったわけです。

家族間トラブルの納得度

 前項と似たところですが、家族の間でもトラブルが起こります。いくつも。

 でも必要以上に深刻化しないんですよね、この作品。

 普通は、映画なんだから過剰に描きたくなるかと思うんです。
 ですが、それぞれの愛によって、それぞれがブレーキを踏み、取り返しのつかないところまで行かないんですよね。

 それが、この映画の納得度の高さに繋がっていると思います。

 対立する2人がいても、「そうだよな~」「そうなるよな~」と、どっちの行動にも納得できて、両者に同情してしまいます。

 納得できる展開により、共感の力も大きくなるので、後半はもう涙が止まりません!

構成上の不満

 ここまで良いところばっかり挙げましたが、私が本当に書きたかったのは『構成上の不満』についてです!
 ※注:私は作品の構成を殊更に気にするマンです。

 この作品、アリスが未来の自分宛に動画を撮るという展開が中盤にあります。

 内容は、「もし、~がわからなくなったら、この薬を飲みなさい」というもの。
 具体的に言うと、家族のことがわからなくなったら、(自殺するために)薬を飲んでね、ということです。

 私はこの録画シーンを見て、2つの予想を立てました。

1.自殺をやり遂げて、その後、家族が動画を発見する。
2.自殺は未遂に終わり、動画と薬を家族が発見する。

 そして家族がどうなるのかと、それがこの映画のメインになるものなんだろうな、と思いました……。

 でもなーんもなかったんです! アリス自身が動画を見つけますが、服薬に失敗し、それっきり!

 それっきりて! んなわけあるか!

 どっちかの展開だろうと思って妄想が膨らんだのに、なんも起こらないってのはダメでしょ!

 こんなことなら動画撮影のエピソードはない方が良かったとさえ思います。
 視聴者を期待させてその期待を裏切るのは、明確な減点要素になるからです。

 以上、映画「アリスのままで」レビュー記事でした!

 ヨクナイ! 期待の裏切り!